大判例

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大阪高等裁判所 昭和53年(ネ)961号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

控訴人は、本件のような賃料不増額の特約は賃料を永久に増額しない旨の約定と同一視すべきであつて無効であると主張し、とくにただし書の値上幅の制限の約定は五年経過後いつまでという期間が定められていないから、永久に値上幅を制限するに等しく、現在でも必要諸経費が家賃額を大幅に上廻り損失を被つている控訴人にとつてきわめて酷であり、かかる損失を水久に負担しなければならないとする約定は無効というべきであると主張する。およそ賃料を増額しないという特約が有効であるためには、一定の期間内であることが必要であり、水久に増額しない特約が無効であるということはいうまでもない。ところで本件特約は「賃料は五か年間据置くこととする。ただし、五年経過後は二年毎に一五パーセントの範囲内において双方協議の上決定する。」というものであつて、ただし書の値上幅を制限する約定について、五年経過後「二年毎」の一定期間の定めがあるもののそれがいつまで続くものであるかは一定せず、いつまでという期間の定めがないことに帰するものであることは明らかである。しかしながら右約定において当事者の意思としては、その期間を「永久」とするものでなく、社会的常識上相当と認められる期間、当分の間値上幅を制限することを合意したものと解するのが相当であり、この約定は借家法七条一項ただし書の趣旨に反するものではない。本件費用が必要諸経費に満たず控訴人が損失を被つているとしても、右特約が有効に成立している以上やむを得ないところであり、控訴人としては当分の間は約定にしたがい一五パーセントの範囲内で増額賃料を定め、または請求することで甘んじ、その後徐々に適正賃料額に近付けるよう努めるべきである。控訴人のこの点の主張も採用できない。

(山内敏彦 田坂友男 高山晨)

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